修学旅行ラボ。

一生一度の修学旅行をデザインする

修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(1)

しばらく前に「修学旅行の時間配分がおかしいのではないか?」という趣旨のSNS投稿が話題となっていました。

maidonanews.jp

このときは沖縄の「美ら海水族館」を1時間で見学するという件が話題となっていましたが、他にもこのようなSNS投稿が…。

  • 北海道「大沼公園」を20分で散策(トイレ休憩かな?)
  • 「国会議事堂」を15分で見学(「通過」の間違いでは??)
  • 京都「清水寺」を見学なし・写真撮影のみで終了(行く意味あります?!)

旅慣れた方でなくとも、「流石にコレはないわ…」というレベルだと思います。交通渋滞などのトラブルで予定が狂ったのが原因であって、最初からこのような計画ではなかったのかも知れません(むしろそう信じたいです)が、仮にこの時間配分が”計画通り”だったとするなら、あまりに杜撰な旅行計画と言わざるを得ません。

なぜ、このようなヘンテコ計画になってしまうのでしょうか。

これはあくまで私見ですが、修学旅行が学校行事である以上、突き詰めてしまえば教員・学校の力量不足と言わざるを得ません。ただし、それを完璧な形で求めるのはあまりに酷です。開き直りと思われてしまうと甚だ心外なのですが、事実なのであえて申し上げます。教員は「教育が専門分野」です。「旅行も専門分野」ではありません。その意味では、(学校行事としてではなく)企画商品としての修学旅行を提案から実施まで一手に担う旅行業者にも改善・反省していただきたい部分があります

以下は修学旅行を企画する場面でよくあるシチュエーション(と私が勝手に思っているもの)です。ちなみにカリキュラム等の関係で見学先が毎年固定されている学校もあるようですが、それは例外ということで。

まず、生徒にとって修学旅行は学校生活の集大成とも言える一大イベントですし、文字通り一生の思い出になるものです。それで教員は「子どもたちのために何とか頑張らねば」と思い、教員人生の中で数える程度しか担当しないであろう「修学旅行の企画」という比較的レアな業務を、たいていは定時をとうに過ぎた時間帯に行う訳です。教員は「子どもたちに、どこで・何を・どのように学んでもらおうか」と真剣に考えます。しかし旅慣れている訳でもなく、地理に詳しい訳でもない、ごく普通の教員にとっては、「とりあえず、○○地方へ行こうかな…」という漠然とした考えしか浮かびません。

そこで、大まかな行き先以外は旅行業者の提案で決めるという方針になります。”企画会議”で大まかな行先だけを決定し、例年通りの仕様書を仕上げ、旅行業者各社へ提案と見積を依頼します。

後日、各社から旅行プランの提案を受けるのですが、A社もB社もC社も、総額で数百~数千万円の売上が一挙に見込める案件だけあって、営業担当者もそれなりに気合が入っています(ただし各社・担当者により温度差はあります。また、手間がかかる案件だと、全力!という感じではないこともしばしば…)。そして、やはり旅行のプロ、企画書にもプレゼンにも、修学旅行らしい魅力的な企画と甘い言葉「現地で○○体験ができます」「事前学習に○○が使えます」「子どもたちの素敵な笑顔があふれます!」など)が盛りだくさん。担当教員たちは皆「どれにしよう…」と頭を抱えるのでした。

悩んだ末に、とりあえず一人当たりの参加費用を最も安く提示したA社を取扱業者として選定するのが通例なのですが、実はここから雲行きが怪しくなってくるのです…。

(2)へ続く