修学旅行ラボ。

一生一度の修学旅行をデザインする

修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(2)

※本記事を読む前に、修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(1)をご一読ください。

修学旅行の「時間配分」がおかしくなり始めるのは、ここからです。

教員たちはというと、落札業者が決まったとはいえ、各社の魅力的な企画に心を揺さぶられます。「A社のプランも良かったけど、B社の○○も入れてみたいなぁ。でも、C社の○○も捨てがたいなぁ…」という思いが募り、旅行計画の変更を申し入れます。

この変更自体は、旅行業法により認められている正当な行為です。詳細な解説は他サイト様に譲ってここでは割愛しますが、これにより旅行業者は旅行計画の作成・提案・実施、学校は旅行計画の変更(修学旅行を監修する)という役割分担ができる仕組みになっています。

さて、学校側からは、あれやこれやと変更を申し入れますが、申し入れ自体は、ほぼ間違いなく「充実した修学旅行にしてあげたい」という教員の善意によるものです。しかしながら、申し入れた内容の実現可能性まではあまり考えていないのではないでしょうか。

考えない、というと語弊があるかもしれないそして先生方からもクレームが来るかもしれないので笑、より正確に表現するとするならば、学校側には「こちら(学校側)はあくまで監修なので、申し入れをふまえて修学旅行を実現させるのはそちら(業者側)の責任だ」という考え方が経験上多いように思います。

ちょっと上から目線、と捉えられる方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ、まぁ、これは監修という役割分担なんです。私個人としては、ここまであからさまな物言いはしませんが、教育活動の一環として「こうしたい!」という明確なアイデアがある訳ですから、そこは当然の要望として先方へ申し入れます。そして、その返答がなかったり、ちぐはぐな回答であれば、「どうなりましたか?どういうことですか?」と確認します。ここでいう”監修”とは、そのような役割を担う意味だとご理解ください。

一方、旅行業者は、学校側からの計画変更の申し入れを受けて、旅行計画を作り直します。ここで忘れてならないのは「一人当たりの参加費用」です。仕様書などで明記された参加費用は事実上の決定事項です。既にこの金額を前提として学校側は動き始めているのです。よって、この金額を超えてしまう変更は余程の切迫した事情*1がない限り行わないのがセオリーです。たまに素知らぬ顔でぶっ込んでくる業者さんもいますが。

そういうわけで、これ以外にも実施日時の指定や手配済の移動手段との整合性など、さまざまな制約条件がこまごまとある中で、先生方からの申し入れをできる限り反映させるべく、旅行業者さんは旅行計画に企画を詰め込めるだけ詰め込みます。あくまで推測の域を出ませんが、このあたり、修学旅行の時間配分がおかしくなってしまう要因が潜んでいるように思うんですよね…。

(3)へ続く

*1:激甚災害や感染症の大流行などによる旅行計画の変更により参加費用が変動する場合がこれに相当するでしょう。それでも参加費用の上振れは極力避けるはずです。