修学旅行ラボ。

一生一度の修学旅行をデザインする

(お知らせ)更新一時休止について

本ブログ「修学旅行ラボ。」をご覧いただき、誠にありがとうございます。

現在本業(教師・講師業)が多忙を極めており、身動きが取れない状況です。

そのため、当分の間、本ブログの更新(投稿)を休止させていただきます。

本格的な再開は5月頃を予定しておりますが、それまでに小ネタ的な投稿はあるかもしれません。

大変申し訳ございませんが、本格的な再開までは過去の投稿をご覧いただければ幸いです。

2024年3月3日

くずれ

修学旅行おすすめスポット(関東編) ※随時更新!

当ブログ的・修学旅行おすすめスポットをご紹介します。はじめての修学旅行でも、ココなら外さない!!という定番ばかり集めました! 今回は関東編です。

1.箱根

  • ジャンル:防災学習、ものづくり体験、乗車体験など
  • 所要時間:ルート、体験内容により異なる(組み合わせで半日~1日)
  • 料金体系:公式サイト参照
  • 予約有無:団体は要予約
  • 留意事項:火山性ガス

有名観光地・箱根は町全域がおすすめスポットですが、その中心となるのは箱根を一周する通称「ゴールデンコース」と呼ばれる定番ルートです。バスで巡ってもよいのですが、登山鉄道やケーブルカー、ロープウェイなどを色々と乗り継ぎながら、箱根の自然の美しさ、火山活動の息吹を感じることもできます。途中、強烈な噴気を上げる大涌谷がありますが、そもそもここは火山の火口の一つで、活動中の火口にここまで近づけること自体、非常に珍しいところでもあります。防災学習にも最適でしょう。ただし、大涌谷では火山性ガスが常に噴出している箇所があるため、呼吸器系の疾患を抱える方は付近を迂回することが推奨されていますので、くれぐれもご注意を。ルート上ではこのほかにも、寄木細工など伝統工芸の体験もできますし、天候を気にせず見学できる美術館もたくさんあります。感性を磨く一日とするのも良いかもしれません。なお、箱根といえば温泉が有名ですが、インバウンドの影響もあり、修学旅行で宿泊するとなると、予算的には厳しいかもしれません。宿泊地に関しては近隣の伊豆も含め、広域的に検討しましょう。

2.江戸東京博物館

  • ジャンル:歴史学習
  • 所要時間:
  • 料金体系:
  • 予約有無:団体は要予約
  • 留意事項:2025年度まで大規模改修のため休館中

江戸時代の「江戸」と現代の「東京」の歴史と文化を学び、体感するミュージアムです。実物展示や復元模型などが豊富で、400年間の江戸時代を楽しみながら巡ることができます。なお、2025年度まで長期休館中なので、再び開館する日まで、もうしばらくの辛抱ですよ!

3.小江戸川越

  • ジャンル:歴史学習、産業学習ほか
  • 所要時間:施設により異なる。公式サイト参照
  • 料金体系:施設による異なる。公式サイト参照
  • 予約有無:施設により異なる。公式サイト参照
  • 留意事項:雨天時対応

江戸東京博物館が休館中だから、という訳ではないのですが、こちらも是非検討してみてはいかがでしょうか。この数年、首都圏近郊でお手軽に江戸体験ができるということで人気急上昇中の「小江戸川越」。蔵造りの街並みが昔のまま保存された地区をそぞろ歩きするのも一興ではないでしょうか? 街並みの中心となる時の鐘周辺には休憩所も整備されていますし、団体昼食可能な飲食店もありますから、昼食をかねて散策もできますし、何なら天気の良い日はお外でお弁当、といったように使い勝手が良い地区です。街並みが程よく保存されている点を除けばいわゆる普通の市街地で、屋内の体験施設やテーマパークではありませんので、雨天時対応は考えておく必要があります。

修学旅行おすすめスポット(関西編) ※随時更新!

当ブログ的・修学旅行おすすめスポットをご紹介します。はじめての修学旅行でも、ココなら外さない!!という定番ばかり集めました! 今回は関西編です。

1.阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター

  • ジャンル:防災学習
  • 所要時間:約2時間(見学コースにより異なる)
  • 料金体系:中高生および引率教員は無料。大学生・一般は公式サイト参照
  • 予約有無:団体は要予約
  • 留意事項:至近に商業施設あり

神戸市中央区にある日本最大級の防災学習施設です。建物も東館と西館に分かれており、渡り廊下やエレベーター・エスカレーターで内部を行ったり来たりする形になります。展示物のほか映像学習も迫力があり、感受性の高い生徒はショックのあまり泣き出すこともしばしば。それだけ心に訴える内容だということですね。各種展示・施設は定期的に更新されているので、防災に関する最新の知見を興味深く学ぶことができます。なお、基本的に月曜日が休館となる場合が多いので、計画する際は、公式サイトの開館カレンダーをよく確認してください。噂の域を出ませんが、ごく稀に当施設から道路を挟んで向かいにある商業施設「HAT神戸」へ”脱走”を図る不届きな生徒(苦笑)がいるようです。安全管理上の問題が生じないよう事前指導を徹底しましょう。

2.カップヌードルミュージアム(安藤百福発明記念館) 大阪池田

  • ジャンル:産業学習・食育
  • 所要時間:(見学のみ)約1時間半 (見学+体験)約3時間
  • 料金体系:見学はすべて無料。体験は利用目的により異なる
  • 予約有無:団体は要予約
  • 留意事項:バス駐車場なし(近隣有料あり)

言わずと知れた、日本が世界に誇る発明品「インスタントラーメン」を記念した体験型ミュージアムです。日清食品創業者の安藤百福氏は大阪府池田市にある自宅裏の小屋でインスタントラーメン(現「チキンラーメン」の原型)を発明したことから、池田市はインスタントラーメン発祥地(聖地?)とされています。ここはミュージアム内の展示内容もさることながら、驚くべきはそのコスパ。なんと入館が無料、学校教育での利用なら体験も無料。しかも、チキンラーメンやオリジナルのカップヌードルの手作り体験後は完成品をおみやげとしてお持ち帰りできるという超・太っ腹! ただし団体利用は予約が必要(バス利用の場合はその旨の相談も必要)なのでお忘れなく。また、バス駐車場が施設内になく、施設周辺道路もバスの通行規制があるため、バスに乗降できる地点(相談の際に先方より指定あり)から数分程度の徒歩移動が必要です。雨具準備など雨天時の対応を検討しておきましょう。ちなみに、当施設と同様の施設が横浜市内みなとみらい地区にもありますが、由緒正しい(笑)のは言うまでもなく大阪池田のほうです。

3.万博記念公園

  • ジャンル:歴史学習、産業学習、アトラクション体験ほか
  • 所要時間:施設により異なる(各施設を巡り、開園~閉園まで滞在も可)
  • 料金体系:施設による異なる。公式サイト参照
  • 予約有無:施設により異なる。公式サイト参照
  • 留意事項:雨天時対応、園内移動に時間がかかる

1970年開催の大阪万博(万国博覧会)を記念した公園。2025年の大阪・関西万博とは別物です。ここは何と言っても、故・岡本太郎氏の代表作「太陽の塔」が有名ですね。2018年からは予約制で太陽の塔内部の見学も可能となっています。ですが、万博公園の見どころはこれだけではありません。万博レガシーが詰まったEXPO’70 パビリオンや「館内で東回り地球一周ができる」と標榜する国立民族学博物館、世界最大級のアスレチック万博BEASTなど、園内には多種多様な施設・アトラクションがあります。また、公園に隣接する大型複合施設EXPO CITYには、ニフレル(水族館)、109シネマズ(映画館・シネコン)、ららぽーと(商業施設)などがあり、変な話、学習・体験・班別研修まで修学旅行の全てをこの万博公園界隈で完結できる?くらいです。なお、各種施設が園内に点在しており、また公園自体も広大なため、雨天時対応と園内移動の方法についてはあらかじめよく検討しておいたほうがよいでしょう。

修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(3)

※本記事を読む前に、修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(1)と(2)をご一読ください。

さて、このブログをご覧の旅行業者さんがいらしたら、お尋ねしたい点があります。

あなたは旅行のプロとして「この修学旅行はちょっと無理があるなぁ」と実はわかっていながら手配・準備を進めてしまった経験はありませんか?

"お得意様"である学校側の強いご要望があった手前、言い出せないまま修学旅行を実施してしまった経験はありませんか?

「学生団体はそういうことになっているんで、って言い訳すれば、とりあえず大体のクレームは受け流せるから大丈夫だろう」と考えてしまった経験はありませんか? 

私は残念ながらそのような会話を耳にしてしまったことがあります。

 

……そんなことはあり得ない、自分は絶対にそんなことはしない、ですか?

というのであれば、さらにお尋ねします。

 

もし自社の旅行商品(募集型企画旅行)だったら、こんな無理筋の旅行計画、立てますか?

普通に考えて、こんな無茶な行程の旅行商品を販売したら、どんなクレームが来るかわかりませんよね? 私がその立場だったら、とてもじゃありませんが恐ろしくて販売できません。それとも旅行業界では「これくらいの行程はふつう」という認識なんでしょうか?

でも、それが修学旅行(受注型企画旅行)になると半ば公然と、ヘンテコな旅行計画が編み出され、最悪そのまま実施されてしまう訳です。

それはなぜか? 思うに、業者さんの頭のどこかに「修学旅行なんだから、しょうがないじゃん」という考えがあるのではないでしょうか?

まさか、「クレームと言っても所詮子どもの文句でしかないんだから、先生方に宥めすかしてもらえばいい」とか「生徒に遅れが出た? 遅れたほうが悪いでしょ、遅れないように動けよ!」とか「先生方が行きたいって言うから行程に入れたんだよ、自業自得だろ」みたいな考えがあるんでしょうか?

もしそうなら、ひとことふたこと言わせてください。

修学旅行が「自社の商品」だという自覚はありますか?

旅行業本来の「役割」から都合よく逃げていませんか?

 

厳しい表現で不快に思われた方に対してはお詫びいたします。

ですが、修学旅行は何物にも代えがたい特別な教育活動、一生一度の特別な旅行です。彼らの思い出を台無しにしたくありませんし、教員としても雑務に追われることなく本来の教育活動(修学旅行の監修・引率)に専念したいんです。

それで旅行業者さんにお願いがあります。

まず、「この修学旅行、ちょっと無理あるなぁ」とわかったら、手配・準備を進める前に学校側と相談してください。学校だってバカじゃありませんし、ある程度の融通は利かせられます。そもそも修学旅行は「貴社の商品」です。となれば旅行計画の作成は、どちら様の業務ですか? 言うまでもなく旅行業者側の業務ですよね? では、学校側への質問・相談は一向に構いませんので、遅れが発生した際の対応時間も当然見込んで無理のない旅行計画を業者様にて責任をもって作成してください。

そして、学校側の強いご要望があった手前、言い出せないまま修学旅行を実施してしまうというのは悪手です。むしろ普段から”お得意様”との信頼関係を構築しましょう。基本的に教員は専門家へのリスペクトを持っています。教員とて旅行に関する専門知識は旅行業者さんに敵わないはずですから、(相手を言いくるめるという意味ではなく)難題にも専門知識と豊富な経験で受けて立つ、要望を受け入れ難いなら中身のある代案を2つでも3つでも出す、という姿勢で臨んでいただきたいです。これこそがプロフェッショナルとしてのあるべき姿だと思います。ちなみに、この姿勢は教員にも必要だと思っています。

最後に、間違っても「学生団体はそういうことになっているんで、って言い訳すれば、とりあえずクレームは受け流せるから大丈夫だろう」などとは考えないでください。バカにしているというか、下に見ているというか、そういう嫌な雰囲気、不誠実さは確実に周囲へ伝わります。もちろん生徒にも伝わり、それは5年後10年後の顧客を逃すことにもつながります。

 

修学旅行の「時間配分」は、学校側・業者側がそれぞれの役割をしっかり果たし、意見の相違は誠実な話し合いを経てお互い歩み寄ることで、十分に改善が可能です。来年の修学旅行こそはいい「時間配分」にしたいですね。

(完)

修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(2)

※本記事を読む前に、修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(1)をご一読ください。

修学旅行の「時間配分」がおかしくなり始めるのは、ここからです。

教員たちはというと、落札業者が決まったとはいえ、各社の魅力的な企画に心を揺さぶられます。「A社のプランも良かったけど、B社の○○も入れてみたいなぁ。でも、C社の○○も捨てがたいなぁ…」という思いが募り、旅行計画の変更を申し入れます。

この変更自体は、旅行業法により認められている正当な行為です。詳細な解説は他サイト様に譲ってここでは割愛しますが、これにより旅行業者は旅行計画の作成・提案・実施、学校は旅行計画の変更(修学旅行を監修する)という役割分担ができる仕組みになっています。

さて、学校側からは、あれやこれやと変更を申し入れますが、申し入れ自体は、ほぼ間違いなく「充実した修学旅行にしてあげたい」という教員の善意によるものです。しかしながら、申し入れた内容の実現可能性まではあまり考えていないのではないでしょうか。

考えない、というと語弊があるかもしれないそして先生方からもクレームが来るかもしれないので笑、より正確に表現するとするならば、学校側には「こちら(学校側)はあくまで監修なので、申し入れをふまえて修学旅行を実現させるのはそちら(業者側)の責任だ」という考え方が経験上多いように思います。

ちょっと上から目線、と捉えられる方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ、まぁ、これは監修という役割分担なんです。私個人としては、ここまであからさまな物言いはしませんが、教育活動の一環として「こうしたい!」という明確なアイデアがある訳ですから、そこは当然の要望として先方へ申し入れます。そして、その返答がなかったり、ちぐはぐな回答であれば、「どうなりましたか?どういうことですか?」と確認します。ここでいう”監修”とは、そのような役割を担う意味だとご理解ください。

一方、旅行業者は、学校側からの計画変更の申し入れを受けて、旅行計画を作り直します。ここで忘れてならないのは「一人当たりの参加費用」です。仕様書などで明記された参加費用は事実上の決定事項です。既にこの金額を前提として学校側は動き始めているのです。よって、この金額を超えてしまう変更は余程の切迫した事情*1がない限り行わないのがセオリーです。たまに素知らぬ顔でぶっ込んでくる業者さんもいますが。

そういうわけで、これ以外にも実施日時の指定や手配済の移動手段との整合性など、さまざまな制約条件がこまごまとある中で、先生方からの申し入れをできる限り反映させるべく、旅行業者さんは旅行計画に企画を詰め込めるだけ詰め込みます。あくまで推測の域を出ませんが、このあたり、修学旅行の時間配分がおかしくなってしまう要因が潜んでいるように思うんですよね…。

(3)へ続く

*1:激甚災害や感染症の大流行などによる旅行計画の変更により参加費用が変動する場合がこれに相当するでしょう。それでも参加費用の上振れは極力避けるはずです。

修学旅行の「時間配分」がおかしいのは誰のせい?(1)

しばらく前に「修学旅行の時間配分がおかしいのではないか?」という趣旨のSNS投稿が話題となっていました。

maidonanews.jp

このときは沖縄の「美ら海水族館」を1時間で見学するという件が話題となっていましたが、他にもこのようなSNS投稿が…。

  • 北海道「大沼公園」を20分で散策(トイレ休憩かな?)
  • 「国会議事堂」を15分で見学(「通過」の間違いでは??)
  • 京都「清水寺」を見学なし・写真撮影のみで終了(行く意味あります?!)

旅慣れた方でなくとも、「流石にコレはないわ…」というレベルだと思います。交通渋滞などのトラブルで予定が狂ったのが原因であって、最初からこのような計画ではなかったのかも知れません(むしろそう信じたいです)が、仮にこの時間配分が”計画通り”だったとするなら、あまりに杜撰な旅行計画と言わざるを得ません。

なぜ、このようなヘンテコ計画になってしまうのでしょうか。

これはあくまで私見ですが、修学旅行が学校行事である以上、突き詰めてしまえば教員・学校の力量不足と言わざるを得ません。ただし、それを完璧な形で求めるのはあまりに酷です。開き直りと思われてしまうと甚だ心外なのですが、事実なのであえて申し上げます。教員は「教育が専門分野」です。「旅行も専門分野」ではありません。その意味では、(学校行事としてではなく)企画商品としての修学旅行を提案から実施まで一手に担う旅行業者にも改善・反省していただきたい部分があります

以下は修学旅行を企画する場面でよくあるシチュエーション(と私が勝手に思っているもの)です。ちなみにカリキュラム等の関係で見学先が毎年固定されている学校もあるようですが、それは例外ということで。

まず、生徒にとって修学旅行は学校生活の集大成とも言える一大イベントですし、文字通り一生の思い出になるものです。それで教員は「子どもたちのために何とか頑張らねば」と思い、教員人生の中で数える程度しか担当しないであろう「修学旅行の企画」という比較的レアな業務を、たいていは定時をとうに過ぎた時間帯に行う訳です。教員は「子どもたちに、どこで・何を・どのように学んでもらおうか」と真剣に考えます。しかし旅慣れている訳でもなく、地理に詳しい訳でもない、ごく普通の教員にとっては、「とりあえず、○○地方へ行こうかな…」という漠然とした考えしか浮かびません。

そこで、大まかな行き先以外は旅行業者の提案で決めるという方針になります。”企画会議”で大まかな行先だけを決定し、例年通りの仕様書を仕上げ、旅行業者各社へ提案と見積を依頼します。

後日、各社から旅行プランの提案を受けるのですが、A社もB社もC社も、総額で数百~数千万円の売上が一挙に見込める案件だけあって、営業担当者もそれなりに気合が入っています(ただし各社・担当者により温度差はあります。また、手間がかかる案件だと、全力!という感じではないこともしばしば…)。そして、やはり旅行のプロ、企画書にもプレゼンにも、修学旅行らしい魅力的な企画と甘い言葉「現地で○○体験ができます」「事前学習に○○が使えます」「子どもたちの素敵な笑顔があふれます!」など)が盛りだくさん。担当教員たちは皆「どれにしよう…」と頭を抱えるのでした。

悩んだ末に、とりあえず一人当たりの参加費用を最も安く提示したA社を取扱業者として選定するのが通例なのですが、実はここから雲行きが怪しくなってくるのです…。

(2)へ続く

【行程案】マイ修学旅行を企画するっ!(5) ~北海道〈A〉~

冬休み期間明けのお題:マイ修学旅行を企画するっ!

これまで5週にわたってお届けした行程案ですが、今回でひと区切りといたします。

忙しい毎日でも、修学旅行の企画を溜めておけば、いつかの機会に活かせるかも…。

今回皆様にシェアするのは、行程案「北海道〈A〉」です。本ブログ内の行程案は全て小生のoriginalですが、煮るなり焼くなり好きなようにしてOKです。ただし、いかなる責任・義務も負いませんのであしからず。

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行程案「北海道〈A〉」

国内外から観光地として絶大な人気を誇る北海道。恵まれた大自然を生かした学習が可能な4泊5日のプランです。班別研修(「班別行動」「自主研修」とも呼ばれる)も設定しています。今回は函館・札幌を中心とした北海道西部(道南・道央地域)を主に巡ります。北海道地方へ旅行した経験のある生徒が多い場合は、見学箇所を工夫しましょう。

1日目

 新幹線利用:各地より新函館北斗駅(バス)函館市内近郊 見学・散策(バス)函館市内ホテル

 航空機利用:各地より函館空港(バス)函館市内近郊 見学・散策(バス)函館市内ホテル

※朝食:設定なし/昼食:函館市内近郊/夕食:ホテル内

 函館は言わずと知れた北海道を代表する観光都市。洋館と美しい坂で知られる西部地区、100万ドルの夜景で有名な函館山、戊辰戦争終結の地・五稜郭公園など、見どころには事欠かない。また、海産物をはじめ、洋菓子に”やきとり弁当”やハンバーガーなど、グルメが魅力的な街としても知られる。

 なお、函館市内近郊のバス見学に代えて、現地到着後すぐに班別研修をスタートすることもできる。その場合、手荷物配送(出発地→現地ホテル)を事前に手配しておくとよい。ちなみに、新函館北斗駅周辺は開発が進んでおらず、市の玄関口にあたる函館駅まで向かうにしても、在来線に乗り換えて20分弱、意外と距離がある。新幹線利用の場合、班別研修は少なくとも函館駅まで全員で移動してから実施したほうがよい

2日目

 函館市内ホテル(バス)各所見学・散策(バス)ルスツ地区ホテル

※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:ホテル内

 この日は移動日だが、単に移動するのではなく、移動経路から大きく外れない見学場所(例えば大沼公園、昭和新山など)をたどりながら、本日の宿泊地へ向かう。

 ここでいう「見学場所をたどりながら移動する」という考え方は、「一筆書き」や「最短経路で」という意味合い。北海道はそもそも都市間が離れており、移動距離・時間が長くなりがち。また、本州以南に比べて交通網が貧弱で、例えば主要国道や高速道路の通行止が発生しても、近くに迂回路がないために尋常ではない距離の大回りを強いられることがある。なので、移動はゆとりを持ってシンプルに、を心掛けたい。

3日目

 ルスツ地区ホテル <ウィンタースポーツ体験、自然体験ほか> ルスツ地区ホテル[連泊]

 ※朝食:ホテル内/昼食:ルスツ地区/夕食:ホテル内

 この日は終日、ルスツ地区でアクティビティを満喫する。ルスツという地名が聞き慣れない方のために補足すると、ルスツ地区の所在地は「留寿都村」となり、北海道ではスキー場と遊園地で有名なリゾート地である。スキーのほか夏はラフティングや乗馬なども体験でき、季節を問わず楽しむことができる。

 ウィンタースポーツや自然体験であれば、近隣のニセコ地区がより有名では?と思われる方も多いであろうが、ニセコは特に富裕層のインバウンド需要が旺盛なこともあり、年々宿泊費やリフト券などの価格上昇が続いている。現状では修学旅行の予算での実施は厳しいと言わざるを得ない。施設設備の面からもルスツはニセコに決して劣らないので、是非ルスツを前向きに検討してもらいたい。

 なお、この日はバス手配が不要となるので、多少はコストカットできている。

4日目

 ルスツ地区ホテル(バス)小樽運河 <小樽・札幌市内班別研修> 札幌市内ホテル

※朝食:ホテル内/昼食:各自/夕食:各自

 函館と並び人気の観光地である小樽。その中で最も人通りが多いのは小樽運河周辺からメルヘン交差点にかけてのゾーン。洋菓子やガラス細工、オルゴールのお店などが軒を連ね、また明治期から昭和前期にかけての歴史的建築物も数多く残されており、大正ロマンを感じる風情ある街並みになっている。

 小樽は観光・港湾都市であるとともに札幌のベッドタウンでもあるため、通勤・通学など日常的な往来が多く、電車や高速バスが地方にしては頻発運転されている。札幌市内への移動手段が充実していることから、本案では宿泊地を札幌とし、小樽運河から札幌市内のホテルまで各自移動するプラン(実質的な班別研修)とした。ただし、小樽・札幌間は荒天時(特に冬季)に公共交通機関の運休や遅れがたびたび発生し、時には札幌市内までの交通手段が一時的に途絶する場合がある。そのため、時期によっては、小樽でこのまま宿泊する、小樽を経由せずに直接札幌へ向かうなど、慎重な判断が必要かもしれない。

 札幌は文字通り北海道の政治・経済・文化の中心であり、約200万人の人口を誇る大都市。大通公園テレビ塔といった定番スポットのほか、ジンギスカンスープカレーなど、函館とはまた異なるグルメスポットも多い。また受験生であれば、JR札幌駅から徒歩圏内にある北海道大学の構内散策*1や構内にあるクラーク先生像*2との記念撮影も面白い。

 手荷物については、手荷物配送(ルスツ→札幌市内ホテル)を事前に手配するか、もし可能であれば、バスに手荷物を乗せたまま宿泊先までバスを回送してもらう方法をおすすめする。

5日目

 札幌市内ホテル(バス)新千歳空港より各地へ

 ※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:設定なし

 指定された新幹線・航空機に乗るまでの時間調整が必要であれば、午前中から見学できるスポットを用意するか、早めに駅や空港へ向かい、構内・空港内で自由時間を設定することもできる。

*1:北海道大学の構内は一部を除き一般開放されており、本稿執筆時点では特に手続きなく入構することができる。実際、付近にお住まいの方々がランニングしていたり保育園児のお散歩する姿が当たり前の光景になっている。また学外者も構内の売店・食堂等を利用可能。ただし、来訪時は念のため最新の情報・注意事項を確認していただきたい。

*2:これと造形が異なるクラーク先生像が札幌市郊外の羊ヶ丘展望台にも設置されている。ガイドブック等の参考画像では、羊ヶ丘展望台のクラーク先生像を使用していることが多いようである。

【行程案】マイ修学旅行を企画するっ!(4) ~九州〈A〉~

冬休み期間明けのお題:マイ修学旅行を企画するっ!

既に冬休みが明けて激務が再開した学校も多いと思いますが、関東・関西以外の行程案もこの機会にご紹介します。こんな時ですが、修学旅行の企画を溜めておけば、いつかの機会に活かせるかも…。

今回皆様にシェアするのは、行程案「九州〈A〉」です。本ブログ内の行程案は全て小生のoriginalですが、煮るなり焼くなり好きなようにしてOKです。ただし、いかなる責任・義務も負いませんのであしからず。

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行程案「九州〈A〉」

古くからアジアとの交流が盛んな九州。歴史・平和・国際など多面的な学習が可能な4泊5日のプランです。班別研修(「班別行動」「自主研修」とも呼ばれる)も設定しています。本案では特に福岡や長崎を巡ります。九州地方へ旅行した経験のある生徒が多い場合は、見学箇所を工夫しましょう。

1日目

 新幹線利用:各地より博多駅(バス)福岡市内近郊 見学・散策(バス)福岡市内ホテル

 航空機利用:各地より福岡空港(バス)福岡市内近郊 見学・散策(バス)福岡市内ホテル

※朝食:設定なし/昼食:福岡市内近郊/夕食:ホテル内

 福岡は九州経済の中心であり、韓国をはじめアジア諸国との交流も盛んな土地柄。見学スポットも多い。

 なお、福岡市内近郊のバス見学に代えて、現地到着後すぐに班別研修をスタートすることもできる。その場合、手荷物配送(出発地→現地ホテル)を事前に手配しておくとよい。博多・天神などターミナル駅付近のホテルが確保できれば、いったん大荷物を置かせてから班別研修をスタートできるため、配送料金をカットできる。ちなみに福岡空港はとても交通の便が良い空港で、福岡空港から市内中心部まで地下鉄が直通しており、博多までは約5分(わずか2駅!)、天神にも10分少々で着く。よって、博多や天神周辺であれば、バスなしで団体移動することも十分に可能。

2日目

 福岡市内ホテル (バス) 各所見学・散策 (バス) 長崎市内ホテル

※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:ホテル内

 移動経路上にある見学場所(学校側から原案提示、もしくは業者提案を受けて決定)をたどりながら、本日の宿泊地・長崎へ向かう。長崎市内中心部は明日(3日目)の班別研修で向かうことになるため、それ以外の地域に重点を置くと効率的。

 長崎市内への到着は午後から夕刻にかけての時間帯になるため、まずは市内を一望できる 稲佐山公園 からの夕景・夜景観賞はいかがだろうか。稲佐山へのアクセスは長らく山麓からのロープウェイが定番だったが、ピーク時間帯の混雑緩和をねらってスロープカーが数年前に開業した。これは稲佐山の中腹にある大型駐車場から山頂の展望台までを結ぶもので、今やロープウェイと並ぶ展望台の重要なアクセス手段となっている。中腹まではバスで登れるため、稲佐山を訪れる際はスロープカーの利用をぜひ検討してもらいたい。

3日目

 長崎市内ホテル <平和学習、班別研修> 長崎市内ホテル[連泊]

 ※朝食:ホテル内/昼食:各自/夕食:ホテル内

 長崎といえば、やはり平和学習が欠かせない。実施の場所・形態は各校独自の考え方があると思われるので詳細な説明は割愛するが、定番は原爆資料館、平和公園(平和祈念像)、浦上天主堂など。

 平和学習の終了後、ここでいったん解散し、班別研修を実施する。市内中心部は路面電車が頻繁に行き交っている。出島グラバー園など主要スポットも沿線に集中しているため、路面電車を活用すると効率的に研修計画を立てることができる。なお、班別研修の実施にあたっては、「いつ・どこへ・どうやって行くのか」を明確に意識させることが大事。事前学習を入念に行い、”研修計画”の完成まで根気強く指導する。

4日目

 長崎市内ホテル(バス)マリンスポーツ体験、自然体験など(バス)佐賀県内ホテル

※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:ホテル内

 有明海、大村湾、九十九島[くじゅうくしま]など、長崎県やお隣の佐賀県にはマリンスポーツや自然を身近に感じるアクティビティを気軽に楽しめる場所が点在している。季節や天候にもよるが、特に都市部在住の方々にとっては新鮮な感覚を味わえるのではないだろうか。

 福岡県と長崎県に挟まれて素通りしがちな佐賀県だが、有田焼や伊万里焼で知られる陶磁器、呼子の朝市や吉野ケ里遺跡など意外にも見どころは多い。宿泊施設も比較的揃っている。今回の宿泊地は武雄温泉や嬉野温泉を想定している。

 なお、旅館や温泉ホテルは学生団体の入浴時間が指定されることも多いので、確認を忘れずに。加えて、入浴に配慮が必要な生徒への対応として、客室内に風呂があれば浴場と併せて利用できるよう依頼する*1

5日目

 新幹線利用:佐賀県内ホテル(バスor在来線)博多駅より各地へ

 航空機利用:佐賀県内ホテル(バス)福岡空港より各地へ

 ※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:設定なし

 指定された新幹線・航空機に乗るまでの時間調整が必要であれば、午前中から見学できるスポットを用意するか、早めに駅や空港へ向かい、構内・空港内で自由時間を設定することもできる。

*1:施設側から、生徒の入浴を浴場に限定し「客室内の風呂を使用しないよう」お願いされる場合があるため。この対応は入浴中の事故防止や清掃時間短縮ひいてはコストの抑制を目的にしているものと思われる。そもそも客室内に風呂がない場合や客室内の風呂使用がNGの場合は、代替案を考えておく必要がある。

【行程案】マイ修学旅行を企画するっ!(3) ~関西〈A〉~

冬休み期間のお題:マイ修学旅行を企画するっ!

中学・高校は冬休みも終盤、先生方は心の準備?を始める時期ですね。こんな時ですが、修学旅行の企画を溜めておけば、いつかの機会に活かせるかも…。

今回皆様にシェアするのは、行程案「関西〈A〉」です。本ブログ内の行程案は全て小生のoriginalですが、煮るなり焼くなり好きなようにしてOKです。ただし、いかなる責任・義務も負いませんのであしからず。

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行程案「関西〈A〉」

歴史や伝統に触れる奈良・京都。大衆文化の発信地にして商都でもある大阪。ここに神戸を加えることで、「防災学習」という新たな軸を増やすことができる、4泊5日のプランです。班別研修(「班別行動」「自主研修」とも呼ばれる)も設定しています。関西圏へ旅行した経験のある生徒が多い場合は、見学箇所を工夫しましょう。

1日目

 新幹線利用:各地より新神戸or新大阪駅(バス)神戸市内近郊 見学・散策(バス)神戸市内ホテル

 航空機利用:各地より神戸or伊丹*1空港(バス)神戸市内近郊 見学・散策(バス)神戸市内ホテル

※朝食:設定なし/昼食:神戸市内近郊/夕食:ホテル内

 初日の移動は貸切バスを利用する。貸切バスは床下に大きな荷室があり、大荷物も一緒に運ぶことができるため、手荷物配送は原則不要。

 神戸は1995年の阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた。震災といえば東日本大震災が記憶に新しいが、都市型の自然災害としては阪神・淡路大震災が今も世界有数の被災規模とされる。 人と防災未来センター などの体験型学習施設や市内各所で大切に保存されている震災遺構を見学し、生徒の心に残る防災学習を実施したい。

 神戸といえば夜景も有名。行程に無理がなければ、ぜひお勧めする。

2日目

 神戸市内ホテル (バス) 各所見学・散策 (バス) 奈良or京都市内ホテル

※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:ホテル内

 移動経路上にある見学場所(学校側から原案提示、もしくは業者提案を受けて決定)をたどりながら、本日の宿泊地へ向かう。大阪市内中心部は明日(3日目)の班別研修で向かうことになるため、それ以外の地域に重点を置くと効率的。

 奈良を選ぶか、それとも京都を選ぶかは、担当者の考え方にもよるので一概には言えないが、指導しやすいほうを選ぶという判断でいかがだろうか。

 旅館や旅館タイプのホテルがあれば、近頃少なくなった大部屋・和室宿泊を体験できる。ただし京都市内を中心にインバウンドの影響で旅館・和室を中心に高価格化の動きがあるため、提示された価格によっては洋室やビジネス主体のホテルに宿泊先を切り替えて価格を抑えることも検討する。なお、旅館は学生団体の入浴時間が指定されることも多いので、確認を忘れずに。加えて、入浴に配慮が必要な生徒への対応として、客室内に風呂があれば浴場と併せて利用できるよう依頼する*2

3日目

 奈良or京都市内ホテル <班別研修> ユニバーサルシティ地区ホテル

 ※朝食:ホテル内/昼食:各自/夕食:ホテル内

 班別研修の一環として、奈良または京都より大阪USJまで一日かけて班ごとに移動。直接大阪へ向かうもよし、いろいろ経由してもよし。その際、手荷物配送(奈良or京都→USJ)があると便利。班別研修の実施にあたっては、「いつ・どこへ・どうやって行くのか」を明確に意識させることが大事。事前学習を入念に行い、”研修計画”の完成まで根気強く指導する。

 なお、本日と明日はバス手配が不要なため、幾らかコストカットできる。運賃など移動費用は各自負担となるが、せいぜい片道数百~一千円程度であり、費用面で大きな問題はないと思われる。

4日目

 ユニバーサルシティ地区ホテル(徒歩)USJ(徒歩)同ホテル[連泊]

※朝食:ホテル内/昼食:ミールクーポン/夕食:ホテル内orミールクーポン

 人気のUSJ〈ユニバーサル・スタジオ・ジャパン〉を終日満喫。

 修学旅行の行程にテーマパークを組み込むことについては、「遊んでばかり…」と眉をひそめる向きもある。しかし、これ自体が体験活動であることに加え、しっかりとした事前学習を行えば、産業学習・進路学習といった重要な意味を持たせることもできる。大事なのは”ただの遊び”で終わらせない仕組みづくり。

 なお、本日もバス手配は不要。幾らかコストカットした分をミールクーポンなどで実質的に還元するという考え方もアリ。

5日目

 新幹線利用:ユニバーサルシティ地区ホテル(バスor鉄道)各空港より各地へ

 航空機利用:ユニバーサルシティ地区ホテル(在来線)新大阪駅より各地へ

 ※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:設定なし

 指定された新幹線・航空機に乗るまでの時間調整が必要であれば、午前中から見学できるスポットを用意するか、早めに駅や空港へ向かい、構内・空港内で自由時間を設定することもできる。

*1:行程の都合上、関西空港はモデルコースから外しているが、1日目の宿泊地(神戸)と2日目の宿泊地(奈良or京都)を入れ替えるなどの工夫により、関西空港を現地の起点とすることも可能である。

*2:施設側から、生徒の入浴を浴場に限定し「客室内の風呂を使用しないよう」お願いされる場合があるため。この対応は入浴中の事故防止や清掃時間短縮ひいてはコストの抑制を目的にしているものと思われる。そもそも客室内に風呂がない場合や客室内の風呂使用がNGの場合は、代替案を考えておく必要がある。

【行程案】マイ修学旅行を企画するっ!(2) ~首都圏〈A〉~

冬休み期間のお題:マイ修学旅行を企画するっ!

中学・高校は冬休みの真っ最中、先生方も一息つける時期ですね(卒業学年を担当していると全くそんなことはありませんが)。こんな時こそ、修学旅行の企画を溜めておけば、いつかの機会に活かせるかも…。

今回皆様にシェアするのは、行程案「首都圏〈A〉」です。本ブログ内の行程案は全て小生のoriginalですが、煮るなり焼くなり好きなようにしてOKです。ただし、いかなる責任・義務も負いませんのであしからず。

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行程案「首都圏〈A〉」

日本の首都圏を4泊5日で巡るプランです。本案では南関東(東京・神奈川・千葉)と伊豆を主に取り上げます。伊豆は静岡だから首都圏ではない、というのは内緒。とりわけ北海道・九州・沖縄といった遠隔地の学校であれば、「日本の首都圏を体験させる」だけで修学旅行の目的は達成されたようなもの。班別研修(「班別行動」「自主研修」とも呼ばれる)も設定しています。首都圏へ旅行した経験のある生徒が多い場合は、見学箇所を工夫しましょう。

1日目

 新幹線利用:各地より東京駅(バス)都内近郊 見学・散策(バス)都区内ホテル

 航空機利用:各地より羽田空港(バス)都内近郊 見学・散策(バス)都区内ホテル

※朝食:設定なし/昼食:都内近郊/夕食:ホテル内

 初日の都内の移動は貸切バスを利用する。貸切バスは床下に大きな荷室があり、大荷物も一緒に運ぶことができるため、手荷物配送は原則不要。行き先としては、「バスでないと行きにくい場所」「プライベートで行くことがなさそう」「個人見学不可(団体のみ受け付け)」などを選ぶとよい。もし見学時間を確保できないときは皇居周辺や国会議事堂あたりをバスで走らせて、”バス車窓から見学”という荒業もある。

 留意点としては、班別研修(2日目)とすみ分けを図ること。

2日目

 都区内ホテル <班別研修> 横浜市内ホテル

 ※朝食:ホテル内/昼食:各自/夕食:ホテル内

 都区内から横浜まで、移動を兼ねて班別研修を実施。その際、手荷物配送(都内→横浜)を事前に手配しておくと便利。班別研修の実施にあたっては、「いつ・どこへ・どうやって行くのか」を明確に意識させることが大事。事前学習を入念に行い、”研修計画”の完成まで根気強く指導する。

 なお、この日はバスの手配が不要なため、幾らかコストカットできている。

3日目

 横浜市内ホテル(バス)箱根・伊豆方面(バス)伊豆方面ホテル

 ※朝食:ホテル内/昼食:箱根周辺/夕食:ホテル内

 箱根では、定番の”ゴールデンコース”(湯本→強羅→大涌谷芦ノ湖)に沿って移動、美術館などの施設見学や各種アクティビティに加えて、防災学習や作品制作も行程に組み込むことができる。また、湯本から芦ノ湖までは 箱根登山鉄道・箱根ロープウェイ も運行されており、乗車体験を企画してみるのも面白い。

 伊豆方面の宿泊地は熱海・伊東などを想定している。旅館や旅館タイプのホテルがあれば、近頃少なくなった大部屋・和室宿泊を体験できる。ただしインバウンドの影響で箱根や伊豆の旅館・和室を中心に高価格化の動きがあるため、提示された価格によっては洋室やビジネス主体のホテルに宿泊先を切り替えて価格を抑えることも検討する。なお、旅館や温泉ホテルは学生団体の入浴時間が指定されることも多いので、確認を忘れずに。加えて、入浴に配慮が必要な生徒への対応として、客室内に風呂があれば浴場と併せて利用できるよう依頼する*1

4日目

 伊豆方面ホテル(バス)ディズニーリゾート(徒歩など)舞浜地区ホテル

 ※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:ホテル内orミールクーポン

 午前中はバス移動、お昼前後にディズニーリゾート到着。ディズニーランドorディズニーシーは甲乙つけ難いが、シーのほうが若干大人な雰囲気かも。

 修学旅行の行程にテーマパークを組み込むことについては、「遊んでばかり…」と眉をひそめる向きもある。しかし、これ自体が体験活動であることに加え、しっかりとした事前学習を行えば、産業学習・進路学習といった重要な意味を持たせることもできる。大事なのは”ただの遊び”で終わらせない仕組みづくり。

 ホテルによってはディズニーの入退場口まで距離があるため、移動経路・手段を必ず確認する。

5日目

 新幹線利用:舞浜地区ホテル(在来線)東京駅より各地へ

 航空機利用:舞浜地区ホテル(バス)羽田空港より各地へ

 ※朝食:ホテル内/昼食:(行程による)/夕食:設定なし

 指定された新幹線・航空機に乗るまでの時間調整が必要であれば、午前中から見学できるスポットを用意するか、早めに駅や空港へ向かい、構内・空港内で自由時間を設定することもできる。

*1:施設側から、生徒の入浴を浴場に限定し「客室内の風呂を使用しないよう」お願いされる場合があるため。この対応は入浴中の事故防止や清掃時間短縮ひいてはコストの抑制を目的にしているものと思われる。そもそも客室内に風呂がない場合や客室内の風呂使用がNGの場合は、代替案を考えておく必要がある。